カウンセリングをする中で、感極まった相談者が泣き始め、動揺してしまった経験はありませんか?
特に副業で相談に乗り始めたばかりのころや臨床経験が浅いころは、泣く心理や対処法がわからずに、表情がこわばったり、内心焦ったりするかもしれません。
そこで今回は心理カウンセリング提供13年目&カウンセラー養成スクール運営の代表カウンセラーが「泣く心理」や「泣く効果」、「相談者が泣いたときの対処法」を紹介します。
状況別の涙への対処法を知ることで、冷静に適切な支援ができるようになりますよ。
目次
カウンセリング中に泣く3つの心理
なぜカウンセリング中にクライエント(相談者)は涙を流すのでしょうか?ここでは3つの心理を紹介します。
安心して緊張の糸が緩んだから
1つ目は「安心して緊張の糸が緩んだから」です。
いじめやセクハラ、パワハラや虐待、離婚や孤立など、相談者はさまざまな悩みを抱えています。しかし、日常生活を送る上で、泣ける場所があるでしょうか?
子どもであっても、泣く場所や親の機嫌によって「泣き止みなさい」「みっともない」と怒られたりするものです。
ましてや大人になれば、世間の目や一般常識によって、精神的につらくても「これぐらい耐えないと」と堪えたり、つらさを「なかったもの」として処理し、やりすごす術を見つけたりします。
けれど、つらさを隠しても、誤魔化しても、消えはしません。クライエント(相談者)の中にはあるのです。
受容や共感を重ねることで、今まで耐えてきたつらさや悲しさを「ココなら大丈夫」と感じ、そっと涙をこぼしたりします。
それだけクライエント(相談者)との信頼関係が構築できた証拠でもありますね。
過去の辛い記憶や思い出が蘇ってきたから
2つ目は「過去の辛い記憶や思い出が蘇ってきたから」です。
ショックな感情が強すぎたり、トラウマに結びつく体験であったりすると、心の奥底に頑丈に蓋をし、眠らしている方も多いです。
直視するのがつらい経験は、パンドラの箱のように、まるで心に鍵をかけたかのように、厳重にしまい込んでいる方も往々にしてあります。
けれど緊張の糸がゆるみ、しっかり信頼構築し、カウンセリングを重ねることで、悩みのコア(核心や原体験)に触れることも少なくありません。
すると、蓋をしていた感情が溢れ出て、相談者自身も止めづらいほど泣くこともあります。激しく泣くクライエントは、それだけ相談者が我慢してきた証拠かもしれません。
感情の言語化がうまくいかないから
3つ目は「感情の言語化がうまくいかないから」です。
仕事や家事、育児や介護など、現代社会でも誰もが複数の役割を使い分けています。すると、自分と向き合う時間や感情を整理する時間をとることができず、「何がつらいのか」「どうしたいのか」もわからないことも少なくありません。
言いたいけれどうまく言葉にできず、それをカウンセラーにもわかってもらえないと、もやもやしていて辛い感情が溢れ出て、涙になることもあります。
悩んでいて辛いが言語化がうまくいかないと、クライエントにとっては非常にもどかしさがあるのです。
涙を流す心理的な効果
では、涙を流すのは悪いことなのでしょうか?恥じる相談者も多いですが、実際にはポジティブな心理的な効果の方が多いです。
ここでは、代表的な効果を紹介します。
ネガティブ感情のデトックス
1つ目は「ネガティブ感情のデトックス」ができることです。
悲しみや怒りなどの強い感情を内に秘めていると、心の健康に悪影響を与えることがあります。泣くことでこれらの感情が解放でき、心理的な軽減をもたらします。
怒りや悲しみ、虚しさや寂しさ、孤独感や切なさなどのネガティブ感情は、とても重いものです。涙を流すことで手放すことができ、気持ちもラクになるでしょう。
怒りや悲しみの緩和
2つ目は「怒りや悲しみの緩和」です。
涙には、コルチゾールなどのストレスホルモンが含まれています。
コルチゾールは、ストレス反応時に副腎皮質から分泌されるホルモンです。短期的なストレスに対する適応反応として大事なのですが、長期間にわたってコルチゾールの高い状態が続くと、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。
泣くことで、体内のコルチゾールレベルが下がり、ストレス緩和につながります。怒りや悲しみもスーッと和らぐでしょう。
緊張の緩和
3つ目は「緊張の緩和」です。
泣いたことで、体が軽くなったり、リラックス感を味わったりしたことはありませんか?
泣くことで、高まっていた交感神経が静まり、代わりに副交感神経が優位になります。
自律神経には、緊張感や集中力を司る交感神経と、休みや平穏などを司る副交感神経の2つがあります。泣くことで、自律神経のバランスがリラックスを示す副交感神経にウェイトが置かれるため、緊張を緩和させることができます。
気持ちがすっきりする
4つ目は「気持ちがすっきりする」ことです。
カウンセリングにてカウンセラーに話を聴いてもらうことでカタルシス効果が得られますが、涙にも同様の効果があります。
涙を受け止めてもらい、感情のデトックスを行うことで、精神面での浄化が進むからです。結果、泣いたあとにスッキリするのです。
自己認識を高められる
5つ目は「自己認識を高められる」ことです。
多忙な現代社会では、自分自身の感情も正確に理解できない人も多いものです。しかし涙を通して、カウンセラーや自分自身と会話をし、「何がつらいのか」「何が自分にとって大事なのか」などに気づいたりします。
自己理解を深めることで、より上手に感情と向き合うきっかけにもなるでしょう。
初心者カウンセラーは押さえておきたい。泣かれたときの対処法
涙はクライエントにとってプラスの側面があるとわかりつつも、初心者カウンセラーは内心あたふたしてしまうかもしれません。
しかし、安心してください。対処法を知っていることで、目の前で号泣されてもそこまで動揺せずにプロとして対処できます。
ここでは、カウンセラー現場に10年以上経ち続けている私が、対処法を紹介します。
ドーンと構えておく
1つ目は「ドーンと構えておく」ことです。
多くの場合、涙は心の浄化サインです。カウンセラーがあたふたしていると、クライエントは感情を味わったり、自分自身と真剣に向き合ったりできません。
ポジティブな反応としてとらえ、動揺せずにドーンと構えましょう。副業でカウンセラーなりたての人は、そっと深呼吸をして、冷静さを保つのもよいかもしれませんね。
やさしく微笑んで泣き止むのを待つ
2つ目は「やさしく微笑んで泣き止むのを待つ」です。
カウンセリング終了時間までゆとりがあるのなら、見守りの姿勢をとりましょう。真顔だと怒りや不愛想な印象を与えかねないので、微笑むのがポイントです。
先月のカウンセリング中には、何人も涙をこぼしていましたが、敢えて口角を上げて微笑んで見守っていました。その後、涙をこぼした方々からは「ありがとう」と感謝されたものです。
柔らかな笑顔は、泣いても大丈夫というノンバーバル情報を相談者に与え、精神的な安ど感を与えられますよ。
ティッシュやハンカチをそっと用意する
3つ目は「ティッシュやハンカチをそっと用意する」です。
対面時には、ティッシュ箱や貸し与えられるハンカチなどを用意しておくとよいでしょう。ディープな話に差し掛かったタイミングで涙をこぼす方々も多いためです。
ドラマや漫画などではそっと涙をこぼすシーンが多いですが、実際には泣くと大抵の人は鼻水も出ますから、ティッシュがあると無難です。
未完了なら手放すための心理療法を行う
4つ目は「未完了なら手放すための心理療法を行う」です。
次のような症状があるのなら、クライエント(相談者)が未完了な内容を相談している可能性が濃厚です。
・カウンセリング中に何度も泣く
・泣いたけど表情がすっきりしていない(もやっとしていそう)
・特定のテーマに過剰反応する
・特定のテーマになると口を閉ざす、態度が変わる など
未完了で割り切れず、精神的に不安定になっているのなら、昇華に向けてサポートをしましょう。
基礎的な傾聴技法しか習っていないのなら、専門的にカウンセリング技術や応用心理療法のマスターなどが必要なステージです。
まだのその域に達していないのなら、スキルを高めるために心理スクールで学びを深めるか、専門知識を有する人にリファー(紹介)するのが手です。
もっと心理学や心理療法の知識やスキルを高める必要性を感じている人は、当スクールでは応用心理療法の指導もしています。興味がある方は、まずは体験セミナーと説明会へお越しくださいね。
言語化ができずに苦しむ人には色彩療法を使う
5つ目は「言語化できずに苦しむ人には心理療法を行う」です。
言いたいことがあるのに伝えられない、伝わらないのは気分がいいものではないですよね。
しかし、「どうしたいかわからない」「わからないからつらい」という人に、質問を重ねても発展は難しいでしょう。
そこで、私は、色彩療法(カラーセラピー)や芸術療法(アートセラピー)を取り入れて、何かに投影させることを通して、スムーズに表現するサポートをしています。
たとえば「将来が不安。でも何が不安かわからない」という人に、カラーセラピーで色を選んでもらうのはクライエントの負担になりません。
選んだのが黄色なら「情報」というキーワードもあります。「情報が多すぎて判断に悩んでいますか?あるいは少なすぎて決めるのが難しいですか?」などの質問をすることで、現状や感情の把握に役立ちます。
カラーセラピーやアートセラピーの知識やスキルを身に付けることで、あがり症や口下手、言語化が苦手な人や引っ込み思案な人へのカウンセリングも、進展しやすくなり、おすすめです。
カラーセラピーなら、入門編は1日で学べますよ。詳細は下記からご覧ください。
涙は浄化のサイン。動揺せずにドーンと構えて話を聴こう
いきなり目の前で泣かれたり、号泣されたりすると、初心者カウンセラーは動揺するかもしれません。
しかし多くの場合、涙は感情のデトックスをし、浄化のサインです。やさしい笑顔を浮かべて、どっしり構えて傾聴を重ねましょう。
しかし、何度も泣かれたり、泣いてもスッキリしなさそうなら、応用心理療法を用いて、話の革新へと踏み入れる必要もあるかもしれません。
切り込む技術が身についていないのなら、心理スクールで学びましょう。当スクールでは、応用心理療法も教えています。
まったく心理学が初心者だったあるスクール生も、半年以内に悩みの根本的な原因を特定し、クライエントが悩みから卒業できるまで、支えて導ける技術を習得していました。
もっとスキルを高めたいのなら、まずは体験セミナーで相性等をお確かめください。
なお、本や動画のみでの学習はオススメしません。なぜなら向き合うのは並の人間であって、実技なくしてスキルは高められないからです。だから当スクールではロープレに重点を置いています。
心理カウンセラーを目指すなら、小手先のテクニックに走るよりも、コアなスキルを身に付けましょう。
独学だとも時間がかかります。でも、カウンセリング経験豊富な講師から教わることで、短期間で技能習得ができるからです。
あなたが確かなスキルを身に付けることで、「これでいいの?」と迷うことなく、相談に乗っていきましょう。
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