仕事終わりに、突然涙が止まらなくなったことはありませんか?
仕事のストレスで涙が出るのは、心や体が限界に達しているサインです。今までたくさん耐え、頑張ってきたのですね。しかし、このような状況を放置してしまうと、さらに深刻なストレスやうつ病などの精神疾患に発展する可能性があります。
そこで、この記事ではストレスコーピングに関する著書を持ち、約2万人以上に心理サービスを提供した心理カウンセラーが「仕事終わりに涙が止まらない理由と対処法」をご紹介します。
カウンセリング相談で、同様の悩みを持つクライエントが問題解決した例もご紹介しますので、今日からストレスへの対処へ取り組んでいきましょう。
目次
仕事終わりに涙が出る5つの理由
仕事が終わってホッと一息ついたのも束の間、電車を待つホームで涙がポロリとこぼれたり、家の電気をつけた途端に涙がとめどなく溢れたりする人も、少なくありません。
ではなぜ、仕事終わりに涙が出るのでしょうか?ここでは、700名以上のカウンセリング相談の経験と心理学の知識をもとに解説します。
職場の人間関係のストレス
1つ目は「職場の人間関係のストレス」によるものです。
・パワハラやモラハラの被害を受けている
・取引先や上司からセクハラ発言をされる
・上司が高圧的で逆らえない
・お局様からネチネチ嫌味を言われる
・社風と合わずに同僚にも本音を話せる人がいない など
カウンセリング相談を受けていると、上司や同僚との関係がぎくしゃくしていたり、ハラスメント被害を受けていたりなどによって、精神的に不安定になっているケースも多々お見受けします。
人には自然治癒力が備わっていますが、日常的に嫌味や高圧的な態度を繰り返されると、本来ならリセットされるはずだったストレスも次第に蓄積し、対処ができなくなります。
特にハラスメント被害者の場合、ストレスのかかる割合が強く、その傾向が顕著です。やがてストレスが蓄積され、緊張の糸が張り詰めた職場では耐えられても、緊張の糸の緩んだ社外や帰路、自宅でポロリと涙が溢れてくるのです。
長時間労働や仕事量の多さ
2つ目は「長時間労働や仕事量の多さ」によるものです。
・連日残業が当たり前
・終電での帰宅もざらにある
・休日出勤も要請されている
・慢性人手不足の現場
・業務量が明らかに1人前の量を超えている など
いくら一生懸命仕事をしていたとしても、過剰な労働時間や膨大な仕事量によるストレスは、じわじわと肉体的にも、精神的にも疲弊させていきます。
特に終電帰りが多い人や連日残業の人は、睡眠時間も十分にとれずに、慢性不眠に陥っているケースも多いです。睡眠負債が溜まると、脳も身体も疲れをリセットできません。やがて自律神経等も乱れ、涙が止まらなくなるのです。
労働環境の不満
3つ目は「労働環境の不満」です。
・中途入社で職場に馴染めない
・職場で孤独感や疎外感を感じる
・職場が体育会系のノリで合わせるのがつらい
・異性ばかりの職場で肩身が狭い
・年功序列で若年層の意見が一切通らない など
カウンセリングをしていると、職場での不平等な扱いを受け続け、しだいに精神的不調をきたすケースもあります。
・女性だから○○してはいけない
・若いから年配者の意見に従うべきだ
・子どもがいるから○○の仕事はさせられない など
性別や年齢、子どもの有無などによって、明らかに差別的な扱いをされると、努力では覆すこともできない分、不満やストレスも溜まりがちです。
しだいに心理的負担が増えていき、限界を迎えることで、感情のコントロールが難しくなるのです。
プレッシャーの増大や強い責任感
4つ目は「プレッシャーの増大や強い責任感」によるものです。
入社して数年が経つと、しだいに後輩ができます。中途入社の場合には、すぐに部下を持ち、指導しなくてはならない立場の人もいるでしょう。
しかし上司や役職などの責任は、ときに大きなプレッシャーとなり、精神的な負担が増します。平社員なら先輩や上司に頼ることができても、立場上だれにも頼ることができないと、精神的に追い詰められ、涙が出やすくなるでしょう。
また、初めての大型プロジェクトを任されたにもかかわらず、メンバーが協力的でなかったり、支えてくれる上司や先輩が不足していたりなど、サポート環境の不足もまた、大きな負担になり、精神的な不調をきたしやすくなる要因の1つです。
頑張っているのにミスが続いたり、十分な成果が得られなかったりすると、仕事に対するプレッシャーが高まり過ぎて、「どうして自分はこんなにできないんだろう」と自分を責め、その結果として涙が出てしまうこともあります。
将来への不安
5つ目は「将来への不安」によるものです。
入社して数年が経つと、先輩や上司の働く姿から将来がイメージできるものです。しかし憧れる人がいなかったり、思い描いていたキャリアが得られなさそうだったりすると、「このまま仕事を続けてもいいのだろうか?」といった将来に対する不安が募りがちです。
十分に自分と向き合う時間が取れれば、しだいに答えが見えて不安解消できることもありますが、多忙な現代社会では自分と向き合うのも容易ではありません。
休日も溜まった家事や育児、蓄積した心身の疲労回復にあてているうちに、月曜日をまた迎えることも多いからです。
結果として「今の仕事で本当にいいのか?後悔しないのか?」との不安や心配が高まり、情緒不安定になって涙が溢れてくることもあるでしょう。
涙が止まらないときに試したい6つの対処法【事例付き】
仕事の悩みで涙が止まらない原因がわかったら、次は解決策です。
ここでは心理学の知識やこれまで2万件以上の心理サービスを提供してきた実績をもとに、対処法をご紹介します。
あなたと同様の悩みを持つクライエントがどのように問題を解決したか、事例も交えてご紹介していますので、参考にしてくださいね。
紙に書いて感情の整理をする
1つ目は「紙に書いて感情の整理をする」です。
煩雑な毎日を送っていると「何で悩んでいるのか」「何が苦しいのか」「どうしていきたいのか」などの悩みや希望がわからなくなる人も多いです。
そこでおすすめしたいのが、悩みやつらいと感じる自分の感情を紙に書き出す手法です。悩みは目に見えませんが、書き出すことで自分の気持ちや状況、捉え方を理解でき、客観的に把握するのに役立ちます。
パワハラや社内いじめが蔓延る会社で勤めていたKさんは、カウンセリングに来た当初は職場が劣悪なことは話しますが、具体的に辛いと感じることや理想の状況は理解できていませんでした。
そこでカウンセリング中に用紙をお渡しし、書き出してもらったところ、「上司が日常的に罵声や暴言を吐いていること」「Kさんだけに高圧的な態度をとり、残業を押しつけていること」が発覚。
紙に書き出したことで、Kさん自らいじめを会社で受けていることが冷静に自覚できました。結果、他の上司等への働きかけをすることができ、パワハラは収まり、カウンセリングも卒業することができました。
ストレス源から一時的に離れる
2つ目は「ストレス源から一時的に離れる」ことです。
パワハラやモラハラ、セクハラやいじめなどを受けている場合には、元凶である人から物理的に離れることが有効です。
なるべく接点を減らして係るのを控えたり、上司や上長に告げて元凶となる人との仕事をする頻度を減らしてもらったり、難しいようなら有給休暇をとって、休むのも1つの手段です。
業務量が過剰でストレス源となっているなら、再分配をしてもらったり、休日出勤や残業を断ったりし、仕事の量を減らして心身を休めることが重要になります。
信頼できる人に相談する
3つ目は「信頼できる人に相談する」ことです。
あなたは本音を言える人がいますか?もし会社や仕事関係でいなくても、プライベートでいれば十分です。
信頼でき、本音を語れる人に、悩みを打ち明けましょう。家族や恋人、友人や仲間に気持ちを打ち明け、感情を吐き出すことで、溜まっていた感情をデトックスできます。
うん、うんと聴いてもらうだけでも心のわだかまりが軽減し、スッキリするのを感じることでしょう。心理学的には「カタルシス効果」といいます。
定期的に感情を吐き出すことで、限界までストレスを抱え込むのを防止することにも役立ちます。
カウンセリングにお越しのTさんは、とてもまじめな性格ですが、ネガティブ感情を吐き出すことを良しとせず、悩みも1人で抱えていました。
やさしい性格で、「同居家族にも悩みを打ち明けることが家族の負担になりそうだ」と抵抗を示していたため、まずはカウンセリングでつらさや苦しさを語っていただきました。
カウンセリングの回数を重ねるごとに、カウンセラーにネガティブ感情を吐き出すことへの抵抗感が和らぎ、やがて奥さんにもポロっと悩みを伝えられることが出てきました。
カウンセリング同様に奥さんにも否定されずに受け止めてもらえたことで、しだいにTさんは1人ですべてを抱えることが減り、カウンセリング卒業となりました。
日常の生活習慣を整える
4つ目は「日常の生活環境を整える」ことです。
会社でストレスまみれの生活を送っていると、就寝時間が遅くなったり、朝食を欠食したり、コンビニ飯が増えたりなど、生活自体が乱れることも多いです。
しかし起床リズムの乱れは自律神経の乱れを引き起こし、より一層ストレスが溜まりやすい環境を産みます。加えて魚や玄米、牛乳などの食材にはセロトニンを促す成分もあり、精神衛生を保つ上でも役立ちます。
カウンセリングに来たHさんは毎日が終電帰りで、残業が当たり前の職場でした。夜ごはんも遅く、睡眠も5時間弱。朝ぎりぎりに起きるので朝は欠食し、乱れた生活を送っていました。
カウンセリングで今後について話していても思考がネガティブで、絶望的に捉える状況。そこで、まずは睡眠6時間を死守してもらい、目覚まし時計が鳴ったら即カーテンを開けてもらって、日向ぼっこをしてもらいました。
食事も可能なら玄米に変えてもらったところ、だんだんと表情も発言も前向きになり、職場に対しても諦めモードから「上長に話を聞いてもらう」などの前向きな対策が取れるように。
やがてうつ症状も和らいで、カウンセリングも卒業してくれました。
リラックスする時間をとる
5つ目は「リラックスする時間をとる」ことです。
カウンセリングに来る方の大半が、頑張りすぎています。緊張の糸がピーンと張りつめ、休む、癒すなどの時間が限りなく0の人も多いです。
そこで、クライエントの方々にはすぐにできる呼吸法や瞑想、自律神経を整えるトレーニング法や肩の力を抜くストレッチなどを実践してもらっています。
すると、しだいに自律神経が整い、質の良い睡眠が取れたり、入眠が速くなったりします。翌朝の気分がすっきりしたり、気分が前向きになったりなど、リフレッシュ効果もあり、ストレス対処法として有効です。
気持ちが穏やかになることで、冷静さを取り戻し、感じているストレス自体も軽減できるため、おすすめします。
もっとくわしくストレスへの対処法を知りたい人は、自著「こころの予防医学」の2章、3章~をご覧ください。
転職や環境の変更を検討する
6つ目は「転職や環境の変更を検討する」ことです。
ストレス源が職場環境そのものである場合、転職や部署移動を検討することも1つの解決策です。
ときどき退職は逃げだ、よくないと話す人もいますが、慢性的な職場いじめやハラスメントの蔓延る会社にお勤めで、なおかつうつ症状や適応障害などの症状が出ているなら、物理的に離れるのも1つの解決法になります。
うつ症状や適応障害なら数か月休むことで回復することが多いですが、うつ病の域まで達すると、再発率が6割以上と長くお付き合いしなくてはならなくなるからです。
自分の心身を守れるのは自分だけです。毎日のように涙が溢れてくるのなら、転職や部署異動も視野に入れましょう。
涙が止まらなくなる前に:日々のストレス管理の重要性
涙が止まらない、感情を抑えられないというのは、限界以上にストレスを抱えた結果です。グッと堪え、頑張ってきたのですね。
しかし手遅れになる前に、涙が止まらないときは心と体のSOSを見逃さないようにしましょう。
涙が止まらなくなる状態に陥る前に、日常的な感情コントロールやストレス管理を身に付けることで、つらい状況下であっても感情の制御ができ、過剰なストレスに対しても冷静な対処法を講じることができます。
うつ状態や適応障害の状態は、一種の風邪の状態に近いです。症状が出てから休養や対処をするよりも、事前に対策を講じて予防策に取り組むことで、つらい、苦しい感情を早期に回復できます。
今回のことを教訓にし、次からは心理学に基づいたストレス対処法を身に付けて、仕事に対するネガティブな感情を和らげる方法を取り入れることをおすすめします。
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