いざ心理カウンセラーになりたいと思ったときに、目の前に立ちふさがるのが「資格」の壁。あなたも心理カウンセラーになりたいけれど、資格がないからどうしよう、と悩んでいませんか?
しかしこのコラムを読むことで「カウンセラーに資格なしでなる方法」がわかります。なぜなら資格よりも大事な要素があるからです。心理歴15年、600名以上のカウンセリング経験のある現役の心理カウンセラーの田倉怜美が、具体的なステップをストーリー仕立てで解説します。どうぞ安心して読み進めてくださいね。
目次
心理カウンセラーは資格がなしでなれる?
まず心理カウンセラーになりたいと思ったときに直面するのが「資格」の壁。はたして無資格でもカウンセラーになることは可能なのでしょうか?
さとみさん!昼間はまったく違う事務職してますが、心理カウンセラーになりたいんです。資格ないのですが、なれますか?
名称独占資格とは「栄養士、保育士など、有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格」。(文部科学省 “国家資格の概要について” ママ引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/014/shiryo/07012608/003.htm
求人はほぼ「公認心理師」「臨床心理士」のみ
心理カウンセラーが名称独占資格ではないと知り、一安心のリスさん。大喜びで自宅に帰り、パソコンを広げ、さっそく転職活動スタート。
心理カウンセラーの2種類の資格
理由を解説する前に、心理学の資格には2種類あり、レベルが4階層に分かれています。
まずはそちらからお伝えします。
1.国家資格である「公認心理師」
まず2種類に分かれているのは、国家資格と民間資格です。心理学の国家資格は、「公認心理師」のみです。2017年に制定されて、2018年より試験が開始された新しい資格になります。
心理学で唯一の国家資格ということもあり、社会的な信頼が高く、求人の募集要項にも「公認心理師」を求める会社が増えつつありますね。まだ資格ができてまもないですが、今後ますます公認心理師の募集が増えると予測されています。
2.臨床心理士も民間資格
その通り。臨床心理士も民間資格になります。公認心理師の資格以外は、すべて民間なんです。2018年に試験が行われる前は、民間企業や病院などの募集はほぼすべて臨床心理士がメインでした。
他と同じ民間なのに、なんで臨床心理士だけ募集が多いんですか?ずるいっ!
リスさん、いいところに着目しましたね。心理学の資格は4つのレベルに分けることができます。その違いを説明しますね。
4つのレベル別の難易度・違いとは?
2017年に公認心理師の資格ができるころに、「公認心理師」をどの位置に定めるかが議論になりました。
そこで、私の所属する日本健康心理学会では、違いを分かりやすくするため、3つに分けて説明しました。
- レベル3:専門資格
ある特定の領域で専門性が著しく高い資格
例)健康心理士、学校心理士など - レベル2:応用資格
仕事に活用できる包括的な知識がある資格
例)臨床心理士、公認心理師など - レベル1:基礎資格
包括的な基礎レベルの知識を有する資格
例)認定心理士
※わかりやすく表現をかみ砕いて書いています。
心理学会では「最低ラインは大卒レベル」に定めています。ただ、心理カウンセラーを目指す方の中には、高卒の方、大学は心理学以外だった方もいますよね。それを踏まえて、すべての資格をまとめると4つに分類できます。それを図にすると次の通りです。
レベル0の特徴・メリット・デメリット
レベル0は、メンタルケアカウンセラーやNLPプラクティショナーなどが該当します。レベル1~3と比べると、内容もやさしく、これから心理学を学びたい人にもあっています。分野も絞られているので、わかりやすいでしょう。エイド・カウンセラーもこちらに該当します。
メリットは、だれでも費用を払い、学習することで資格取得が可能です。学会の資格と比べると、費用も安く、難易度もやさしいのが特徴です。
デメリットは、試験なしで資格が取れることもあり、社会的な信頼がとても低いです。求人はほぼ皆無です。資格は簡単に取れますが、だからと言って就職に有利にならず、仕事に結びつくわけではないです。
レベル1の特徴・メリット・デメリット
レベル1は、認定心理士が該当します。心理学の中でも20分野程度の学習をするので、幅広い心理学の基礎知識が身につきます。
メリットは、大学で所定の単位を履修することで、取得できる点です。4年間学び、資格取得することで、心理学の基礎をしっかり学んだことの証明になります。
デメリットは、基礎資格だけでは就職時の募集要項を満たしづらい点です。稀に認定心理士での応募が可能なこともありますが、代わりに指定機関での実務経験が求められ、就職は難しさがあります。
レベル2の特徴・メリット・デメリット
レベル2は、臨床心理士や公認心理師が当てはまります。幅広い知識を有し、企業などの仕事面で活用が可能なレベルになります。
メリットは、就職や転職での募集要項を満たし、カウンセラーとしての採用活動に挑むことができます。就職するチャンスが増えるでしょう。
学校現場でのスクールカウンセラー、企業でのカウンセラー、病院内での心理カウンセラーなど、幅広く働き口があります。資格保有者の時給は3,000円~5,000円程度と高いのも魅力的でしょう。
デメリットは費用も高額で、時間がかかる点です。大学・大学院(修士課程)まで学ぶ必要があるため、最低でも6年間は時間を要します。
私立大学・大学院で学ぶ場合には、およそ600万円程度の費用は用意しておいた方が無難です。臨床心理士も実習が伴うため、会社員との掛け持ちはあまり推奨されず、費用的な負担も重くのしかかります。
臨床心理士などの有資格者の給料(収入)は、サラリーマンと同じくらいとされています。ただし、募集はフルタイムの正社員が少なく、派遣社員やパート、業務委託が多めです。週1回勤務のも多い特徴があります。
なお、臨床心理士の仕事事情については、なぜ臨床心理士がカウンセラー職に就けない?3つの理由と意外な解決策に詳しく記載しています。
苦労して臨床心理士の資格を取得し、時給3,000円、1日6時間の週1契約ができたとしても、月72,000円です。都内の1人暮らしの1か月分の賃料分にしかならないのが現状。収入的にも厳しいといえるでしょう。
カウンセラーの収入に関する詳細情報は心理学で食べていくのは難しい?5つの理由と打開策とは?に記載しています。
レベル3の特徴・メリット・デメリット
レベル3は、学校心理士や健康心理などの専門性の高い資格です。臨床心理士や公認心理師も専門家と認められる資格ですが、こちらは特定の分野のスペシャリスト資格です。
私の保有する健康心理士なら、睡眠指導やメタボリックシンドロームの改善支援など、一般的なカウンセラーのイメージとはやや異なり、専門家として指導や支援を行ったりもします。
メリットは社会的な信頼が高く、特定の分野での仕事が可能な点です。カウンセリングや指導以外にも、専門家として「執筆」「監修」などの依頼が来ることもあります。実際に私も資格保有していることで、某社のコラムや小冊子の監修も務めた経験があります。
デメリットは、レベル1~3と同じく時間や費用が掛かることです。最低でも指定大学で心理学を学び、実習等の経験を経て、資格を取得します。最短で4年間かかり、より上位資格の場合には大学院の博士課程レベルまで必要であり、8~9年ほどかかるものもあります。
無資格で応募できるカウンセラーとは
- 教育カウンセラー
小学生・中学生・高校生などへの教育指導の仕事。 - 美容カウンセラー
別名:美容部員。ビューティーコンサルタントとも言われる。
お肌に合うスキンケアやメイクアップ品を提案したり、エステの提案やサービス提供をするお仕事。 - 住宅購入カウンセラー
条件に合うお住まいを探し、お客様に提案、ご案内するお仕事。
だとしたら、残る方法は1つです。自立する方法を身につけて、カウンセラーになる方法です。
求人に頼らないで自立するカウンセラーに
求人に頼らないで、自立する方法を身につけるとはどのようなことを指すのでしょうか。リスさんと一緒に学んでみましょう。
集客って難しそうなイメージありますよね。私も営業未経験だったから、起業や経営って言葉を聴くとビクビクしてました。けれど、心理職は求人も少ないからこそ、「求人頼み」をやめて、夢を諦めないために自立をしてビジネスを学ぶことが大事です。
実際に私もビジネスを学んだことで、まったく相談に乗れない状況から、相談者が来てくれて感謝されるようになったんです。リスさんも、心理学だけでなく、必要な人に来てもらうスキル(ビジネススキル)をつけることで、喜ばれながらカウンセラーとして仕事ができますよ。
いきなり起業は私も勧めません。私自身が起業で痛い目を見たから、準備不足で会社員を辞めるのは、むしろ反対です。焦りから気持ちもグラグラするので。同じ思いをしてほしくないから、まずは副業で収入確保できてから、起業を検討してほしいと考えています。
せっかく安定収入の給料もあるようでしたら、少しずつビジネスを学んでいき、副業からスタートするのがおすすめです。今は昔のように対面形式だけでなく、在宅カウンセラーやオンライン・カウンセラーなども増えてきて、スタートしやすい環境になってます。
「なぜ心理学だけではカウンセラーのお仕事に就けないのか」については、相談に乗るのが好きなのに、仕事にできない人の3つの落とし穴も併せてご覧くださいね。
オンラインカウンセラー・在宅カウンセラーの選択肢
在宅カウンセラーやオンラインカウンセラーもあるんですか?
そうです。新型コロナウイルス感染が流行する前までは1対1でカウンセリング・ルームで相談に乗る対面カウンセリングが一般的でした。ただ、コロナ感染予防のために、非対面のZOOMやSkypeなどを用いたオンラインでカウンセリングをするオンラインカウンセラーが主流に。また顔出しが恥ずかしい方は電話によるカウンセリングもできます。
会社にバレずにできそう!すごくいいですね。在宅カウンセラーとオンラインカウンセラーの違いって何ですか?
在宅カウンセラーは、自宅にいながらカウンセリングをする人を指します。オンラインカウンセラーや電話カウンセラーなども在宅カウンセラーの一種です。低いハードルで始められるので、会社員をしながらカウンセラーを目指す人には良いですね。メリット・デメリットなどの詳細は副業でカウンセリングするには?在宅できる5つの方法をご紹介にて説明していますよ。
無資格・知識なしでカウンセラーになるリスク
さっそくカウンセラーとして人に声かけていこうとするリスさん。スピード感があるのは素晴らしいですが、相談者さんのことをしっかり考えているのなら、心理学の知識0でカウンセラーになるのは、3つの危険性が存在します。
1.共依存に気づかずに悩みの悪化
まず1つ目は、共依存に陥るリスクが高いことです。
共依存とは「依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様」。(厚生労働省、e-ヘルスネットより、ママ引用)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-058.html
一般的にはそう思われていますよね。ただ、すべての人は悩みを解決する力を秘めています。カウンセラーはあくまでも、こころの専門家としてサポート役。解決するのは本人です。
それなのに、「困っている人を助けたい」「私なら助けられる」と思って行動に移せば、相談者は「先生に頼ればいい」と相手の依存を助長させてしまいます。これで悩みが解決すると思いますか。
カウンセラーになるためには、学校やスクールなどで最低限度の心理学の知識を吸収して、身につけることが大事です。カウンセラーとしてのマインドを知り、共依存に陥らないための対策を打てます。
本当に困っている人の役に立ちたい、相談者として貢献したい気持ちがあるのなら、最低限の心理学やカウンセリングの知識をプロから学ぶことが大切です。
当スクールも事故を防止するために、共依存を防ぐための聴き方やルールを伝授しています。心理学を学ぶスクールは、それらをしっかり教えてくれるところを選択しましょうね。
2.カウンセラーが疲労困憊になるリスク
2つ目はカウンセラーが疲労困憊になるからです。知識がないと、共依存になっていることすら気づくのが難しい特徴があります。
ストレスケアを知らないのは危険。またストレスはうつ以外の身体症状や行動面に出ることもあるので、その辺りも知らないと大事なサインを見逃してしまいます。
加えて、仕事上のストレス、恋愛のストレス、家族間のストレス、すべて同じ方法で対処ができますか?状況や内容によっても異なるからこそ、30個程度のストレスケアを持つことで対処できるようになります。
こころを扱う仕事である以上は、心理学の知識をつけること、自分の身を守ることも大切なことです。
3.専門外・スキル不足の対処ができない
3つ目は「専門外・スキル不足での対処ができないこと」です。
スクールや学校などで学び、恩師や先生などに紹介できる体制を整えること、スムーズな紹介方法を知ることは必要です。
資格は不要!でも最低限の心理学の知識が必須
さいごに今日のポイントをまとめますね。
- 資格なしでも心理カウンセラーと名乗れる
- 求人はほぼ「公認心理師」「臨床心理士」のみ応募可能
- 心理学の資格はレベル0~4まで
- 気軽に取れる資格は社会的な信頼が低い
- 信頼が高い資格は4~6年ほど資格取得に時間がかかる
- 信頼の高い資格は時給は高いが給料は少なめ
- 転職サイトに掲載されている○○カウンセラーは相談以外の仕事
- カウンセラーになりたいなら「自立」スキル必須
- いきなり起業より副業カウンセラーとして始めるのがベター
- 在宅カウンセラー・オンラインカウンセラーの選択肢もあり
- 知識なしでカウンセラーになると共依存・疲労困憊などのリスクがある
- カウンセラーはストレスケア法30個以上持とう
- 専門外やスキル不足は紹介を出すのも必要なことも
- 副業カウンセラーになるには最低限の知識と自立のための学びを
だれでもカウンセラーとして名乗ることはできます。ただ、転職でカウンセラーになりたいのなら、最低4~6年学び、数百万円の費用を支払って、臨床心理士や公認心理師に合格が必要。
時間もお金もかかります。最短でカウンセラーになりたいのなら、求人票や転職サイトに頼らずに、「相談したい人に来てもらえるスキル」が欠かせません。
いきなり会社員をやめて起業すると、路頭に迷うリスクがあります(親身に相談に乗るためにも、食べていくためにも、お金も必要です!)。まずは、最低限度の心理学の知識とビジネススキルを身につけて、副業カウンセラーとして始めるのがベター。コロナ時代だからこそ、オンラインで在宅カウンセラーとして、始めやすいです。
心理学を勉強するスクールや学校選びのポイントは2つ。1つが「心理学」と「ビジネススキル」の双方が学べる場所であること。もう1つが、課題にぶち当たったらその都度、先生に確認できる環境があることです。
なお、当スクールでは、ビジネス&心理学が同時に学べる環境をご用意!もちろん、期間中は無制限でメール相談ができるのはもちろん、ブログやSNSの添削・フィードバックも行っています。私自身が何年も遠回りし、多くの時間もお金も無駄にした痛い経験があるから、受講生にはスピーディーに叶えてほしいと切に願っています。
結果、心理学もブログを書くのもまったく初めてだった受講生が、当スクールで心理学とビジネスを学び、たった1か月でお金をもらって相談に乗り、副業カウンセラーデビューした事例もあります。
今、知識がなくてもこれから吸収していけばOK。会社員を続けながら、まずは心理学とビジネスを学び、副業カウンセラーとしてスタートを切りましょう。あなたの夢が叶いますことを応援しています。
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