副業カウンセラーになりたての人にとって、こんな疑問が生じているかもしれません。
・カウンセリング時間は何分が平均なの?
・30分のカウンセリングではダメなの?
・どのくらいの間隔で通ってもらえばいい? など
実際にスクール生からも、上記の疑問をいただいたことがあります。
そこで、心理カウンセリング提供13年目&カウンセラー養成スクール代表カウンセラーが「カウンセリング1回あたりの平均時間とその理由」や「カウンセリングに通う平均的な間隔とその理由」を紹介します。
妥当な時間を設定することで、相談者の悩み解決を促し、「○○さんのところに来てよかった」と喜ばれるカウンセラーになりましょう。
目次
カウンセリングの平均時間とその理由
まずは、カウンセリングの平均時間とその理由を紹介しますね。
1. オーソドックスな60~90分
一番多いのが60~90分でのカウンセリング時間の設定です。なぜならクライエント(相談者)自身が悩みと向き合い、感情の整理や物事とのけじめをつけるために「ある程度まとまった時間」が必要になるためです。
加えて60分や90分は、1時間・1時間半と時間の区切りもよく、管理しやすいメリットもあります。
2. やや短い40~50分
次に多いのが40~50分のカウンセリング時間の設定です。主に学校、クリニック、企業などではこの時間帯が多いでしょう。
なぜならメンタルクリニックや心療内科でのカウンセリングは、今や予約待ちの状態です。次々と予約者が入り、次の予約が控えているため回転率(効率)の観点から、やや短めになります。
カウンセラーはクライエントを見送った後、相談内容をカルテ(相談記録)にまとめなくてはなりません(当スクールではカルテの書き方も指導しています)。
ベテランのカウンセラーであっても、内容を要約して記録するのに10分程度は要します。さらに、次の予約者が来るまでに前回のカルテを見ておさらいをするため、10~20分程度のインターバルは不可欠です。
なぜ90分以上のカウンセリングが少ないのか?2つの理由
40~90分までのカウンセリングが多めであることをお伝えしましたが、「まとまった時間の方が話しやすくなるなら90分以上でいいのでは?と思う人もいるかもしれません。
そこで、なぜ90分以上のカウンセリングが少ないのか、2つの理由をお伝えします。
1. 集中力が切れるから
1つ目の理由は「集中力が切れるから」です。
人の集中力は90分と言われています。90分以降は、50分、40分と徐々に集中可能時間は減少します。
メンタル不調のときには、ふだんよりも集中力が欠ける傾向があります。あなたも職場の人間関係で疲弊しているときや夫婦げんかした翌日などは、ふだんよりも仕事に身が入らなかった経験はないでしょうか?
同じように、集中したい相談であっても、心のコンディションがイマイチなときに、そこまで集中できません。
したがって、心にゆとりがないときにも相談に専念できる時間として90分未満が標準となっています。
現在、私が提供しているカウンセリングも基本が60分ですが、以前は90分や120分のカウンセリングも実施していた時期があります。
しかし途中で「先生、トイレ行きたいです」とトイレ休憩が必要になる場面や、クライエントの集中力が切れて会話がたりする場面も珍しくありませんでした。
以上の理由から、現在のカウンセリングは60分を標準と、90分や120分の相談は要相談としています。
2. 依存が起こりやすいから
2つ目の理由は「依存が起こりやすいから」です。
精神的に参っているときに、否定せずに親身に話を聴いてくれる人とずっといると、しだいにクライエントがカウンセラーに依存し始めます。
「先生さえいればなんとかなる」という心境は、ときにクライエント自信の成長意欲をそぎます。
そして、悩みと向き合って感情の整理をしたり、自立して悩みから抜け出す手法を探したりするのを放棄し始め、熱心なカウンセラーにもたれかかることもしばしばです。
すると、事態が改善しないどころか悪化することになりかねません。クライエントの未来の可能性をつぶさないためにも、あらかじめ「●分」という時間を設け、依存を回避します。
その時間を超えるようなら次回の予約へと促しましょう。
30分未満のカウンセリングは少ない3つの理由とは?
90分以上の相談が好ましくないのなら、30分未満のカウンセリングはなぜ少ないのでしょうか?これは3つの理由があります。
初回カウンセリングは場面構成に時間がかかるから
1つ目は「初回は場面構成に時間がかかるから」です。
まずは気軽にお試し用として「短い時間のサービスを安価帯」で出そうと思うかもしれません。ビジネス的観点からはアリなのですが、カウンセリングでは次回時に「場面構成」が不可欠です。
場面構成をいい加減にして始めると「こんなの聞いていない!」「先生が治してくれるんでしょ?」とトラブルに発展する恐れがあります。
なぜなら多くの相談者は「カウンセリングとは何か」「カウンセリングでできること・できないこと」「カウンセラーの倫理」などを十分に理解していないからです。
(当スクールでは倫理も当然教えているのですが、通信制の心理スクールだとカウンセラー自身も「倫理」を教わっていないところすらあります。)
トラブル回避のために正しく理解してもらい、同意の上でサービス提供するためには、10~15分程度の時間を要します。結果的に、30分未満では相談における時間が圧倒的に足りないため、30分未満のカウンセリングは数が少ないです。
深い相談まで行きつかないから
2つ目は「深い相談まで行きつかないから」です。
初回時には場面構成という説明事項が待ち受けています。それなのに、実質15分程度で初対面の人間と深い話まで行きつくでしょうか?答えはNOですよね。
むしろ初回こそ通常より長めの時間を設けるカウンセリングルームもあるくらいです。実際に私も初回のみ90分で提供したこともあります。
それだけ初回時に説明ことがあり、できるだけ早めに本質的な話に近づくことが肝心なのです。
ラポール形成には時間がかかるから
3つ目は「ラポール形成には時間がかかるから」です。ラポールとは、信頼構築のことを指します。
あなたは初対面の人に、人間関係の悩みや親とのしがらみなどの思い悩んできたことをパッと打ち明けられますか?夫婦関係の亀裂や親からの虐待などは、何年、何十年と苦しんできたケースもあるでしょう。
初回の相談は、クライエントも「この人のこと本当に信頼していいのか?」と確かめつつ話しているため、いきなり深い話にまで踏み込めるケースは稀です。
カウンセラーとクライエント(相談者)が信頼を構築し、本質的な悩みに移行するまで一定の時間を要すること、深い話に入るまでにも60分などのまとまった時間があったほうがいいことなどから、30分未満のカウンセリングメニューは少ないです。
なお、30分未満で提供するケースでは、癒しフェスタなどのイベントでの体験、本カウンセリング前に相性を確かめる目的などがありますが、おもにエンタメ的なサービスと言えるでしょう。
時間になっても相談者が話し続ける…定刻で話を切り上げるには?
カウンセリング時間を設けたものの、終了間近になってもクライエントが話続けていると「どうしたらいいんだろう」と途方に暮れるかもしれません。
過去の私も「どう切り上げたらいいの?」と悩み、乗り越えてきた経験をもとに、解決策4つをお伝えしますね。
1. 募集ページに時間の明記をする
1つ目は「募集ページに時間の明記をする」ことです。
カウンセリングをし始めたばかりのころは、ブログも案内ページも漏れがあることが多いです。あなたのカウンセリング案内ページには、時間や料金、場所やキャンセルポリシーなどの明記がありますか?もしないようなら、即追記しましょう。
きちんと読んでから申し込んでくれる人なら、募集ページにカウンセリング時間を記載するだけでも、時間を意識してもらえるでしょう。
2. カウンセリング冒頭で改めて時間を伝える
2つ目は「カウンセリング冒頭で改めて時間を伝える」ことです。
多くのクライエントは、育児や介護、仕事や交友関係など多忙な生活を送っています。募集ページや事前案内メールを送って読んでいても、当日のカウンセリング日までに忘れていることも多々あります。
そこで、場面構成の中に時間の案内もきちんと盛り込みましょう。当日伝えることで、永遠と話し過ぎることへの抑止力になります。
3. タイマー等を活用する
3つ目は「タイマー等を活用する」ことです。
「時計じゃダメですか?」「スマホでもいいですか?」とスクール生からもよく聞かれるのですが、タイマーを推奨します。
なぜなら「音を鳴らすこと」も重要だからです。カウンセリングが円滑に進むと、クライエントは真面目な人でも時間を忘れて語り続けます。
しかし、タイマーが鳴ることでハッと時間を意識し、円滑な時間内での終話へと促せます。もちろん、鳴っていても気にするようなら「時間ですね」とさらに促す必要はありますが、そこまで必要な人は100人に1人もいませんよ。
ちなみにスマホがカウンセリングルームにあると、機内モードにしない限り音がしてカウンセリングの妨げになるため、相談者がお越しになったらしまいましょう。
4. 延長させることで生じる相談者のデメリットを考える
4つ目は「延長させることで生じる相談者のデメリットを考える」ことです。
心やさしい人ほど、時間になっても「気分良く話してくれているのに遮るのが申し訳ない」と躊躇しますよね。けれど、時間延長することは、クライエントへのメリットだけしかないのでしょうか?
時間延長するデメリットとして「依存させるリスクが上がる」「クライエントの時間を奪うことになる」などが挙げられます。
夢中になって話すクライエントものちの予定が入っているかもしれません。仕事終わりの予約なら、お子さんのお迎えや夕食の支度など、やることが多数あるケースもあるでしょう。
さらに、だらだら話続けてもOKと許してしまうと、本来しっかりしている人も「この人なら何でも受け止めてくれる」と依存し、本来ある悩みと向き合う力を眠らしてしまうことがあります。
クライエントは一時的に心が乱れていたり、落ち込んでいたりするかもしれません。けれど、あなたがいないとダメな人でも、何もできない人でもありません。
だからこそ時間にルーズになることで、クライエントの回復する機会や成長する機会を奪うことがあってはいけないのです。
「時間が来ましたね」と、にこやかに告げましょう。多くのクライエントは「もうそんな時間なんですね」「過ぎてしまってたんですか⁉申し訳ないです」など、理解してくれますよ。
カウンセリングに通う平均的な間隔とその理由
カウンセリングは、一般的に週1~月1回程度通っていただきます。
精神的に不安定な人は週1回ペース、ある程度情緒が落ち着いているなら月1ペースなど、精神状態を踏まえて、通う間隔を変えましょう。
なお、月1回以上開けるとぶり返しやすいため、おすすめしません。
実際に、カウンセリング歴3年未満のときには「時間がない」「時間が合わない」というクライエントの話を真に受け、事由に来てもらっていた時期もあります。
しかしせっかく相談に来てくれているのに、3か月や半年などの時間が空いてくるので、前回以上に表情が暗かったり、人間関係が悪化していたりすることがありました。それ以降は、通う期間を意識してお伝えしています。
良くなってほしいために相談業をしているのに、悪化するのを傍観するのは不本意ですよね?だからこそ、妥当な通う間隔を知っておいてください。
クライエントが悪化やぶり返す前に次回相談に来てもらい、快方や改善へと促すことが肝心です。
初心者カウンセラーは60分に設定をしよう
長すぎる時間ではクライエントの集中力が欠け、短すぎると場面構成に時間をとられて相談の時間が足りません。あなたが副業カウンセラーになったばかりなら、設定するカウンセリング時間は60分をおすすめします。
60分ならまとまった時間が取れて、場面構成をしても十分に相談に時間を費やすことができるからです。
相談に乗る上で技術力に不安があり、カウンセラーが抑えるべき倫理を習っていないなら、ロープレのある学校で基礎固めをしませんか?
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喜ばれる傾聴スキルをつけ、あなたに相談してよかったと喜ばれる副業カウンセラーになりましょう。
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