カウンセリングで真摯にサポートしているのに、一向に改善せずに悩んでいませんか?心理スクールの教材を振り返っても対処法が見えてこないと、思い悩んでしまうかもしれません。
でもご安心ください。7つの視点を知ることで、クライエントの悩み解決に向けて取り組むことができます。
今回は心理カウンセリング提供13年目&カウンセラー養成スクール代表が「カウンセリングしても改善しないときに考えるべき7つの視点と対処法」を紹介します。
また、1万件以上の心理サービス提供の実績を踏まえ、「カウンセリングに必要な時間と回数」も併せてご紹介しますので、改善して卒業を迎えるまでの目安にしてください。
解決に向けて不足している視点を取り入れて、改善に向けた支援を行っていきましょう。
目次
カウンセリングに必要な時間と回数は?悩みの深さ別の目安
「カウンセリングは何回来たら良くなるんですか?」と聞かれ、青ざめたことはありませんか?
カウンセリングに必要な回数は、相談者の精神状態や目指すゴール、カウンセラーの技術力や相性によっても変わるため、単一回答が難しいところがあります。
ただ、カウンセラーを始めたころの人や副業カウンセラーになりたての人にとって、目安は欲しいですよね。そこで起業8年目、心理相談歴13年目、心理サービス提供1万件以上の経験をもとに、「必要な時間と回数」を紹介します。
軽度は1~3回、1か月半未満
悩みに小さいも大きいもありません。しかしカウンセリング卒業までに必要な回数が少ないものを軽度とした場合、軽度な悩みは1~3回程度で終了することが多かったです。
期間としては、1か月未満~1か月半程度です。
では、軽度な悩みとは、どのようなものがあるのか、過去の経験をもとにまとめました。
【軽度な悩みの一覧】
恋愛:彼氏ができない、出会いがない、元カレが忘れられない、長続きしない
キャリア:やりたいことがわからない、天職探し、キャリアデザイン
仕事:上司との折り合いが悪い、仕事が好きになれない
睡眠:寝つきが悪い、寝る前スマホが辞められない、寝起きがだるい
健康:疲れが取れない、気が休まらない など
平均が3か月程度(6回程度)
カウンセリングで標準となるのは、3か月程度です。卒業までに通う回数は6回程度が多めでした。
【主な悩み一覧】
恋愛:理想のパートナーと出会う、失恋からの立ち直り
夫婦関係:DV、円滑な夫婦関係、円滑なパートナーシップ
親子:親の過干渉、親の束縛、過去の呪縛、虐待
仕事:セクハラ、パワハラ、いじめ、お局様対策、退職したい
睡眠:夜中に何度も目が覚める、寝るまでに1時間以上かかる、寝るのが怖い
性格:自分が好きになれない、比べる自分からの脱却、自分らしさの探求 など
関連記事:今すぐ仕事を辞めたい!カウンセラーが教える危険サインと対処法
複雑な悩みは1年以上かかることもある
なかには、1年以上かかってようやくひと段落つくケースもありました。その多くが複数の分野に悩みがまたがっているのが特徴的です。
たとえば、家庭内別居中で仕事でも居場所がない方。向精神薬を服用中で不眠症に悩みつつ職場いじめを受けている方などです。
トリガーとなる悩みを取り除くと悩みが軽減する一方で、思考グセや行動パターンまで変容しないと再びトラブルや悩みを引き起こすことが多いためです。
この場合は、悩みと向き合うサポートをしつつ、相談者自身の成長を支え続け、思考グセや行動パターン、生活習慣まで変えるお手伝いをすることが多くなります。必然的に時間がかかります。
カウンセリングしても改善しないときに考えるべき7つの視点と対処法
軽度な悩みなのに目安となる3回を超えても、まだ時間がかかりそうだと焦りが生じているかもしれませんね。
もし目安をすぎても改善しないのなら、次の7つの視点を取り入れることをおすすめします。対処法を1つずつ見ていきましょう。
1. 相談者や悩みにあった心理療法を用いているか
1つ目は「相談者や悩みにあった心理療法を用いているか」です。
カウンセラーになりたての方だと、来談者中心療法をはじめとした基本的な傾聴しか学んでいないかもしれません。
確かにありのままに話してもらい、ひたすら受容や共感をしていくことは大事なことです。一方で、どれだけ時間をかけても「何で悩んでいるかがわからない」「どうしたいかがわからない」人もいます。
そこで、私は1~2回のカウンセリングで改善の兆しが見えないなら、来談者中心療法に固執せず、認知行動療法や色彩療法など臨機応変にクライエントに使う心理療法を変えています。
カウンセラー側の専門知識やスキルがより一層求められますが、扱う心理療法を変えるだけで改善することも多々あるためです。
改善させるためにも1つのやり方だけに固執せず、別の心理療法でのアプローチも試してみましょう。
2. スーパーバイジングを受けているか
2つ目は「スーパーバイジングを受けているか」です。
カウンセラーとして駆け出しの場合、そもそも見立ての誤りや介入の不適切さもあります。だからこそ知識や経験が浅いときには、スーバーバイザーのもとで相談しましょう。
・適切な介入だったのか?
・主訴や仮説の立て方が合っているのか?
・次回以降どのようなアプローチが妥当か?
あなたなりに考えても答えの出ない課題も、5年、10年とキャリアの重ねた先生なら「このやり方だと現状打破できるかもよ?」「この場合の見立ては○○だよ」と、スパッと答えてくれることも多々あります。
実際に、当スクールではカウンセラー養成スクールを運営していますが、スクール生にはコンサルの時間をスーパーバイジングにすることもあります。
寄り添ってクライエントがより良くなるために、プライドを捨てて信頼できるカウンセラーにスーパーバイジングしてもらいましょう。
3.悩みに対応できるだけの知識や経験があるのか
3つ目は「悩みに対応できるだけの知識や経験があるのか」です。
相談業1年生のころから、あまりにもディープすぎる相談を受けると、悩みに対応するだけの知識や経験が不足しているため、いくら努力しても改善に向かわないです。
実際に私も、カウンセラー1年生のころにレイプ被害者や震災後のPTSD、犯罪加害者などの相談にあたってしまい、知識と経験不足で十分なサポートができなかった苦い経験があります。
今なら「当時の自分にはディープすぎる悩みだった」とわかるのですが、当時はそれすらも知識がなく、リファーすべきかの判別がつきませんでした。
だからこそ、このブログ読者は初心者のうちは軽度から一般までの範囲を対象にすることをおすすめします。その上で、重度や複雑化しすぎている相談者が来たなら、リファー先を探し、先輩カウンセラーにつなぎましょう。
4.相談者が精神疾患の域に達していないか
4つ目は「相談者が精神疾患の域に達していないか」です、
向精神薬等を服用しているクライエントの場合、精神医学や精神保健学の知識がないと、かえって悪化させてしまう恐れがあります。
当スクールなら上級講座修了生以上、もしくは大学や大学院で専門的に心理学を学んでいる人にリファーをするのが妥当です。
「気分がラクになる薬」は、抗うつ剤や抗不安剤などが投与されている可能性が濃厚です。手に余ると判断したなら、早めにリファーしましょう。
あるいは、1年ほど時間をかけて精神医学や精神保健学が学べる学校に通い、専門知識とスキルを磨くのも1つの解決策でしょう。
5.共依存に陥っていないか
5つ目は「共依存に陥っていないか」です。
助けよう、救ってあげようとの思いが強すぎると、依存を招きがちです。共依存に陥ると、カウンセラーとクライエントの関係が泥沼化します。
相談者が自立をやめてカウンセラーにもたれかかるため、改善せず婚着状態になり、カウンセラーだけが躍起となって解決に向けて取り組む形になるためです。
この状況になっている可能性があるのなら、共依存についてしっかり勉強をし、抜け出すことが肝心です。依存する心理や解決策は下記を参考にしてください。
関連記事:依存性の高い人で疲れる…カウンセリング初心者向けの対処法【場面別】
6.相談者に改善の意欲があるのか
6つ目は「相談者に改善の意欲があるのか」です。
カウンセリングに来る以上は、全員よくなりたいはずだと思うかもしれません。しかし「変わりたい」「解決したい」「乗り越えたい」などのわかりやすいゴールを目指す人ばかりとは限らないのです。
過去に相談に来た方の中には、どれほど真摯に向き合っても、一向に改善に向かわずに婚着状態に陥った人がいます。その方から最後に言われた印象的なことばがあります。
「(先生でも解決しないんだって)諦めたかった。どうせダメなんだって思いたかった」との言葉です。
実際にはクライエントは変化を望んでおらず、変わってほしいのはその家族やパートナーだけだったのです。
いくら真摯に対応しても、クライエントの本心で変わることを拒否している場合も当然改善しません。
実は相談者の中には「ダメな自分を変えたい(変化)」よりも「ダメな自分もあっていいと受け入れたい(現状への受容)」を望むケースもあります。
社会的に、不登校やニートなどは良しとされません。しかし誰もが欠けている部分や劣っている部分があるものです。
たとえ学校には行けなくても習い事や青少年育成センターに通えるなら社会とのつながりを保つことができます。会社に所属せずとも、人と会わずに仕事が完結するフリーランス職だってこの世にはあります。
無理に変わることを強要せず、本当の望み(受容)として「私はこのままでも生きていていい」などを認められるように促すのも1つの形なのです。
7.未消化の悩みに向き合っていないか
7つ目は「未消化の悩みに向き合っていないか」です。
解決していない問題がカウンセラー側にあると、自分を重ね合わせて話を聴いてしまうケースがあります。
しかし過去の自分をクライエントに重ねて聴く行為は大変危険です。なぜなら助言や職務範囲を超えた介入になり、健全なカウンセリングにならず、改善を妨げるからです。
心理学では投影・転移・逆転移が該当します。
この場合の解決策は、あなた自身もカウンセリングを受けて過去の未消化の課題に取り組むか、その領域はNGテーマとして該当する人はリファーするかになります。
7つの解決策を知り、悩み改善に向けてサポートしよう
カウンセリングで真摯にサポートしているのに、一向に改善しない場合にはカウンセラー側の専門知識やスキルの不足、相談者や悩みに最適な心理療法を行っていないなどがあります。
基本的な来談者中心療法だけでなく、悩みに合わせて柔軟に心理療法を使い分けましょう。実際に私も、相談者の心理状態に応じてアートセラピーやカラーセラピーなどを取り入れることもあります。
当スクールではカラーセラピスト養成レッスン(1Day)なども行っています。副業カウンセラーとして相談者の力になるために、スキルや知識を磨きたいひとにおすすめです。
くよくよと現状にとどまってもがくのではなく、足りない知識やスキルを補って、役に立てるカウンセラーになりましょう。
■関連記事
・【1day講座】見えない”こころ”を可視化する色彩療法
・カウンセリングが逆効果になる7ケースと相談効果を高める12の方法
・カウンセリングの平均時間とその理由を起業8年目カウンセラーが解説します
・沈黙は気まずくない?4つの意味と対処法
・働きながらカウンセラーになるには?両立の秘訣もご紹介!
コメント
COMMENT