「聞き上手になりたい」「コミュニケーションの悩みを減らしたい」という方が、後を絶ちません。人の悩みの9割が、人間関係だからです。
そこで、知ってほしいのが傾聴「さしすせそ」です。聞き上手な印象を与え、人間関係を良好にするといわれていますが、本当なのでしょうか?
心理カウンセリング提供13年目&カウンセラー養成スクール運営のカウンセラーが傾聴「さしすせそ」の効果や有効な場面を紹介します。
適切な使いどころを知り、人間関係やコミュニケーションの悩みを軽減させましょう。
目次
傾聴「さしすせそ」とは?おもな4つの効果
傾聴「さしすせそ」は、あいづちのときに発する言葉の頭文字になっています。
さ:さすがですね!
し:知らなかった~。知りませんでした
す:すごい!素晴らしい!
せ:センスいいですね
そ:尊敬します。そうなんですね!
で、これらのあいづちにはどのような効果があるのでしょうか?おもに4つの効果があります。
聞き上手だと思ってもらえる
1つ目が「聞き上手だと思ってもらえる」です。
相手の発言に応じて「さすが、○○さんですね!」「そうなんですね!知りませんでした」などのあいづちを打つことで、相手の自尊感情をくすぐることができます。
効果的な合いの手を入れることで「聞き上手な人」「コミュニケーションが上手な人」との印象を持ってもらうことができるでしょう。
相手の承認欲求を満たすことができる
2つ目は「相手の承認欲求を満たすことができる」です。
マズローの欲求5段階説では、生理的欲求→安全の欲求→愛・所属の欲求→承認欲求→自己実現の欲求と分かれています。
今の現代社会において、衣食住に困っている人、会社や地域社会などに一切所属していない人はむしろ少数派でしょう。けれど、「承認欲求」が十分に満たされている人は少ないです。
役職者や会社の代表者であっても、取引先や他の役職者などのへ気苦労やプレッシャーなどで、内心は押しつぶされそうなことも多々あります。
そこに「素敵な腕時計ですね」ではなく、「センスいいですね」と相手の内面を褒めることで、相手の承認欲求を満たすことができます。
会話を盛り上げることができる
3つ目は「会話を盛り上げることができる」です。
「すごい」「さすが」などと褒めることで、気を良くした相手はさらに話を続けていくことでしょう。話が膨らんでいき、会話が盛り上がっていきます。
相手のことをもっと知ることができ、場も温かくなっていきます。
好感度が増す
4つ目は「好感度が増す」です。
「さすが専務ですね」「素晴らしいです、尊敬します」などといわれて、悪い気がしますか?褒められて悪い気がする人はあまりいません。
褒められることで、肯定的なストロークが働くからです。肯定的なストロークとは、心理学では表情やしぐさ、態度や言葉などで「自分や相手を認める働きかけ」のことを指します。
褒めたり、うなづいたり、真剣に聞いたり、微笑みを浮かべたりなど、肯定的なストロークは「あなたのことを認めています」というサインを送ることになり、相手からの好感度も高まっていきます。
傾聴「さしすせそ」がカウンセリングに不向きな理由
では、傾聴「さしすせそ」は、カウンセリングやセラピーにも効果があるのでしょうか?実際には、傾聴「さしすせそ」は不向きです。
理由は「カウンセラーの距離感を逸脱するから」です。
カウンセリングでは、こどもの不登校やご主人からのDV、職場内でのセクハラやパワハラなど、深刻な悩みを打ち明けられることが少なくありません。
相談者はカウンセリングの場で、じっくりと悩みや自分自身と向き合い、自分なりの答えや決着をつけていきます。
カウンセラーはあくまでも悩み解決の伴奏者であり、ときに苦しさや悲しさを浮かべる相談者に対し、寄り添いながら伴奏していきます。
褒めたり、励ましたりすることで気持ちが明るくなることもありますが、心が弱くなっているときに繰り返し行うと「褒められないと行動できない」マイナスの学習をすることもあります。
カウンセラーへの依存や共依存を起こすリスクもあるため、心理ケアでは不向きです。
傾聴「さしすせそ」が効果的な場面とは?代表的な3例をご紹介
カウンセリングやセラピーには不向きですが、どのような場面で傾聴「さしすせそ」は効果的なのでしょうか?代表的な3例をご紹介します。
1. 合コンで盛り上がりたいとき
1つ目は「合コンで盛り上がりたいとき」です。
初対面の出会いのときに「さすが」「すごい」など、効果的に褒めることで、好感を抱きやすくなります。冗談でけなされるよりも、褒められた方が嬉しいからです。
これは女性から男性へのアプローチだけでなく、女性向けのアプローチにも有効です。なぜなら「かわいいね」だけよりも「ファッションセンスいいね」の方が内面まで見てもらえた気がして、嬉しくなるでしょう。
2. 介護や接客職などで相手との距離感を縮めたいとき
2つ目は「介護や接客業などで相手との距離感を縮めたいとき」です。
介護で施設に長期入居していると自尊感情が下がることもあるでしょう。そんなときに「○○さんはそんなことも知っているんですね!すごい(尊敬します)」などの言葉がけは、承認欲求を高めることに役立ちます。
ボディケア、ネイルサロンなど、1対1でじっくりと接客をする方、介護職の方などにも、おすすめです。
3. 商談を成功させたいとき
3つ目は「商談で成功させたいとき」です。
商談での成功の可否は、社運にかかわります。内容によっては、数十万円、数百万円、もしくはそれ以上の金額の商談もあるでしょう。
商談時にはしっかりと説明をしようと気合が入るかもしれませんが、話す以上に大事なのが「聞く技術」です。
関係性が浅い取引先なら、アイスブレイクで「いや~○○さんはすばらしいセンスの持ち主ですね」「1人でそこまで築き上げたなんて、ホント尊敬します」など、内容に合わせて使うことで早期に心をつかみ、商談成立にも活かせます。
かえって逆効果になる?傾聴「さしすせそ」の注意点
恋愛に仕事、身近な人との人間関係の円滑化に使えるのなら、とても便利に思えるかもしれません。しかしかえって逆効果になるときもあります。ここでは注意点をご紹介します。
多用しすぎない
1つ目は「多用しすぎない」です。
褒められて悪い気はしませんが、短時間に何度も「すごい」「さっすが~!!」などのリアクションをくり返せば、「この人教養がないんじゃないか?」「反応が随分軽いな……」などの受け取り方をされる恐れもあります。
オーバーリアクションの人とレッテルが貼られる恐れもあるため、恋愛においても、ビジネスシーンにおいても、多用しすぎには注意しましょう。
表情や声のトーンと言葉を一致させる
2つ目は「表情や声のトーンと言葉を一致させる」です。
・言葉では褒めているのに、声のトーンが低い
・誉め言葉なのに、顔が引きつっている(真顔になっている)
言語と非言語は一致していないと「本音じゃないな(建前だな。お世辞だな)」と受け取られやすいです。
さらに不一致感が高まると「馬鹿にした印象」を与えることもあります。ぎこちなく使うとお世辞感が半端ないので注意しましょう。
傾聴「さしすせそ」は使うシーンを選ぼう
今回は、傾聴「さしすせそ」が相手の承認欲求を満たし、好感度を高めたり、会話を盛り上げたりする効果があることをお伝えしました。
恋愛やビジネスシーンでも使えるため、コミュニケーション下手だと感じている人は、適宜使ってみるとよいでしょう。
一方で、カウンセリングやセラピーには残念ながら不向きです。副業でカウンセラーを目指すなら、小手先のテクニックに走るよりも、「在り方」と「5つの基礎的な傾聴スキル」を身に付けることが肝心だからです。
「悩んでいる人の力になりたい」「傾聴力を高めたい」という方は、まずは体験セミナーで詳細と相性をお確かめになることをおすすめします。
独学だとも時間がかかります。でも、カウンセリング経験豊富な講師から教わることで、短期間で技能習得ができるからです。
あなたが確かなスキルを身に付けることで、疲れることなく相談に乗り続け、困っている相談者の力になりましょう。
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